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完売御礼【私の中の太宰治展】


美の起原で開催された御子柴大三 氏企画の【私の中の太宰治展】


6/12(土)つつがなく会期終了致しました。


素材である反物選びからこだわり抜いて自ら表装まで手掛けた『墨美神®︎きもの掛軸』


この度、まとまった数を並べた初の試みの展示でしたが


たいへん多くの方に関心を持っていただき、


有り難いことに完売と相成りました。


樋口鳳香の『墨美神®︎』とご縁を繋いでくださった方々に改めて深く御礼申し上げます。


そしてこの機会を繋いでくださった企画者の御子柴大三 氏、美の起原さんに感謝申し上げます。


ご一緒できた作家さんたちにも多くの刺激をもらいました。


幸せで充実した時間でした。ありがとうございました。






(以下余談です)


会期中、何度も「なぜ着物地に描くようになったのか」と訊かれました。


お着物を学び、着るようになって、知識が蓄えられてきた背景があるのはもちろんですが


水墨画を描くにあたってずっと愛用していた和紙の職人が技を引き継げないままリタイアされて


その紙が入手できなくったのもひとつの背景でした。


生(き)の地を空白として生かして描く水墨画にとって紙選びは創作において大きな比重をしめます。


水墨画にとって空白は何もない『無』ではなく、


そこに何かある『気配』であったり、『予兆』であったり、時空を越えた『記憶』であったりします。


そんなわけで代わりの紙を探さなくてはいけないと思っていた矢先に


着物との出会いがあったのです。




私が使っていた和紙が二度と入手できなくなったように


日本にはたくさんの伝統の技と、それに携わる職人がいますが、


何百年と続く長い伝統があっても、一度その灯を失ってしまうと取り戻す事がたいへん難しくなります。


和紙を漉くのに不可欠なトロロアオイの生産農家が止めて、


墨を作るのに不可欠な最後の膠職人がいなくなって、、、


社会が目先の生産性ばかりに目が眩んでいる間に、


たったひとつの歯車の重さに嘆く未来が待ち構えているように思えてなりません。


私のささやかな仕事で『日本の伝統』の灯に若干でも息を吹き込むきっかけとなれば、と思いつつ


日課墨美神で、日々創作に魂を捧げている次第です。




なにより皆様のご健勝とご多幸を祈りつつ


どうぞ今後とも墨美神®︎ともども樋口鳳香をよろしくお願い致します。












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