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【離れると浮き上がって見えるもの】

  • 執筆者の写真: Hoca Higuchi
    Hoca Higuchi
  • 2022年4月14日
  • 読了時間: 2分


作品というものは、


筆の届く範囲で眺めていると気づかない部分も、


離れて見たり、違う空間に置いて眺めると、


気づかなかった部分が浮き上がって見えることが往々にしてあります。





私の場合、毎秋100号ほどを出品する『現水展』が良い例で、


アトリエで描いていると満足できていても、


いざ東京都美術館の広い空間に飾られると、まったく違うものに見えたり、


創作段階の拘りがまったく無意味に思えたりすることも多々あり…。




それは画廊に展示するサイズであっても然りで、


稀に勢いで描いて思いがけない佳い作品になることもあるけれど、


だいたいに於いて、作品は少し時間と空間の距離を置いて、


心の俯瞰で眺めることが大事だと思っています。


その感覚は人や社会との関わりに於いても同じことが言えるように感じます。





昨年を以て、樋口鳳香は15年間に渡って学び続けてきた師匠の画塾を離れ、


独り立ちすることになりました。


長きにわたるその間、師匠の名の元で出品し続けてきたいくつかの展覧会も卒業を決めました。


師匠が元気でいる間は、生徒さんのお世話係も兼ねて学ばせてもらおうか…


という思いもどこかにありましたが、


偶か私を取り巻く環境の変化もあり、独立することを了承してもらいました。





東京都美術館で毎年10月に開催される


現代水墨画協会主催『現水展』はこれまでどおり出品し続けます。





…と。画塾を離れてみると案外、思考を巡らす時間ができて、


新しい創作意欲もふつふつと低温で滾り始めています。


師匠にはよく「樋口さんに教えることはもうないよ」なんて冗談で言われていましたが、


行き詰まった時には相談に乗ってくれたり、有難い存在でした。


これからは全てにおいて、自分で判断して進まなくてはいけません。


本気の人生をかけた創作マラソン、ラストスパートのスタートです。





お客様に寄り添う作品を創ることも、もちろん作家にとって大切なことですが、


その点だけに小さくまとまらず、


己の心の深淵を覗いて、これまで以上に創作の源流を追求できたら、と欲深く考えています。


何であれ、すべては皆さまの、お力添えあってのことです。


どうぞ、これからも墨美神®︎ともども樋口鳳香をよろしくお願いいたします。










〈追記〉


独立を機に今年は参加する展覧会を絞り込みました。


そのためスケジュールに余裕があります。


佳き企画がありましたら、ぜひぜひお声掛けくださいませ






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