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【若冲の筋目描きで龍を描いています】


私の創作歴と同じく、長くお付き合いしてきたお気に入りの和紙がありました。


画像がそれです。







向こう側が透けるほどの薄さで、


でも繊維がしっかり絡んでハリがあって、簡単に破れることなく


繊維の動きは秋の雲のように複雑で、濃く絡んだ部分と薄く流れる部分との絶妙な配分で


紙を見た瞬間に


「きれい…」


と思わずため息がこぼれてしまうほどでした。


その質の低下を感じ始めたのは何年か前。


小売店で話を聞くと職人が仕事を辞めてしまったため、クオリティを保てなくなったとのことでした。


人だけでなく、素材も、バトンをうまく繋げなかったんですね。


買えるだけ購入しましたが、それも残りわずかとなり、


使いやすいサイズにカットを始めました。




水墨画で和紙という存在は、画面を構成する上で墨と並ぶメインキャストです。


躍動や、その逆の静寂をも表現する余白は、和紙の白で表現されます。


余白を活かす墨の動きを神秘的に見せるのも、和紙の繊維です。


無作為な植物の繊維の中に、水と墨をまかせることで創作は完成していくのです。


そのため、全紙という大きなサイズから


目を凝らして最良の部分を選んで切り出します。


そまびとじゃあるまいし「今日は紙を切り出すのに1日を費やした」なんてこと、


同じ画家と呼ばれる人でも理解できないかもしれませんね。


画材屋に行って描きたいサイズの紙を買ってきて描く、


と言うワケにいかないのが水墨画なのです。





今回の墨映展の『天女降龍図』はその紙で描いています。


美しい植物の繊維の雲の中を、水を含んで龍となった墨が流れているさまが見て取れると思います。


ちなみに鱗は、若冲の筋目書きと同じ技法で描いています。


若冲と違うのは筋目の出やすい画宣紙か、筋目の出にくい麻紙、というところでしょうか。









【第27回 墨映展】

〈入場無料〉

会場:ヒルトピアアートスクエア(新宿ヒルトンホテル地下)

   『西新宿駅』より地下道で直通

会期:9/15(水)~9/21(火)11:00~18:00・最終日15時閉展







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